日本の森林帯はどういう風になっているのか? 

植物の種類があまり変わらない安定した状態のことを
極相と言います。
この極相としてあらわれてくる木のグループを地図に描いてみます。
すると、おおよそ一年間の平均気温(これを
年平均気温と言います)の等しい線を結んだ線と一致します。
それで、年平均気温の線を利用して日本の森林帯を4つに区分することができます。
これを水平分布と言います。
このように
極相の違いで森林を区別したものを森林帯と言います。

1 森林帯区分

年平均気温 おおざっぱな場所 森林の様子 特有な森林帯名 写 真
(本当は森林の写真がいいのでしょうけど、とりあえず)
亜寒帯林
あかんたい
6度以下 北海道東北部 エゾマツ・トドマツの針葉樹林

カンバ類・ミズナラ・イヤタカエデ・カツラなどの落葉広葉樹とエゾマツ・トドマツが混じった森林
エゾマツ・トドマツ林   
 ダケカンバの幹        シラカバの幹
冷温帯林
れいおんたい

または

温帯林
おんたいりん
6度から
13度
北海道西南部
から
東北の宮城県
あたりまで


岩手県はここです。

ただし、標高の高い所を入れると長野あたりまで
ブナ・ミズナラ・イタヤカエデ・トチノキ・カツラなどの他種類の落葉広葉樹が生えています
(ブナが極相の代表なのでブナ帯とも呼ばれます)
ブナ林  
 ブナの幹             トチノキの幹
 
 ミズナラの幹           イタヤカエデの幹
暖温帯林
だんたいりん

または

暖帯林
だんたいりん
13度から21度 福島県から
九州まで
シイ類やカシ類などの常緑広葉樹が極相となっている
葉の表面がツヤツヤして光っているので照葉樹林帯(しょうようじゅりんたい)とも呼ばれます
暖温帯林は南方系の森林なので北方系の冷温帯林とは森の木の種類が大変な違いが出てきます。従って、この2つの森林帯が接する場所では非常に複雑な様子になります。
カシ林
アラカシの葉(つやつやしている)
(IPA教育用画像集より転載
亜熱帯林
あねったいりん
21度
以上
小笠原諸島や沖縄などの南西諸島 ガジュマル・アコウ・ビロウ・木生(もくせい)シダ類が生えている (これから収録します)



2 日本地図による4つの森林帯の分布の様子

上の図は、「私たちの森林」(日本林業技術協会編)のイラストをさらに概略的に作図したものです。
ですから、まさにおおざっぱです。沖縄がありません。地図の取り込みに失敗しました。沖縄の皆さん、ご容赦下さい。
なお、地図作製は日本全域を対象とし,任意の範囲を指定して白地図を作成するソフト白地図mapmapで作成しました。
それをフォトショップでペイントしました。


3 森林帯は水平だけでなく、垂直方向にも変化する。

高いところの山は標高が高くなるにつれて気温が低くなる(100m上昇するごとに約0.6度低下する)ので、
極相(安定した樹木の集団)の区分線は、標高が高くなるに従って変化します。
結局、気温低下の原因になっている等高線の変化と一致することになります

これを(森林帯の)垂直分布と言います。

下に垂直分布の図を示します。1つの山に4つの森林帯が出現しているのがわかると思います。

図は「私たちの森林」日本林業技術協会編を参照に筆者が作成がしました。


4 森林の水平分布と垂直分布を組み合わせたモデル

水平分布と垂直分布を組み合わせると、概略次のような気候区分を表すモデルができあがります。
気温は、水平的に見ると北へ行けば行くほど低下します。また垂直的に見ると高くなればなるほど低下します。

図は「私たちの森林」日本林業技術協会編を参照に安倍が作成しました